より良いプロジェクトマネジメントを目指して ~PMBOKから振り返り編~

この投稿は アイスタイル Advent Calendar 2021 の23日目の記事です。
こんにちは、化粧品データが面白そうということでistyleに入社し、計測やBIツールなどデータのライフサイクルに関する課題解決を行っている やす です。

この記事では現状の自分のプロジェクトの振り返りを、PMBOKのプロジェクトマネジメント標準・PMBOKガイドを利用して行いたいと思います。

今年は規模・種類が今まで経験のないプロジェクトが多かった(1/3)

私は今年の7月まではデータエンジニア部門のマネージャーとして、データプロダクトの開発プロジェクトにアサインされたり、BIツール Tableauの導入プロジェクトの立ち上げなどを行っていました。ですが、7月以降は体制の変更で事業部に近いところでデータのビジネス企画や他社とのデータ連携を模索するなど、開発系ではないプロジェクトにアサイン・立ち上げを行うことが増えました。

プロジェクト例

携わる人が大きく変わり前提が通じず、進行上の課題もでてきた

これまでは社内のエンジニアやプロダクトのディレクターなど、職種も人も限定されていましたが、今は社外の方と数ヶ月単位のプロジェクトや個人情報保護関連で法務の方と連携するなど、プロジェクトのメンバー・ステークホルダーがかなり広がりました。

その中で、以下のような課題も出てきました。

  • どの部門が中心的に推進するか不明で、誰に何を相談するかがわからない
  • プロダクトがアウトプットではないプロジェクトの成果が測りづらい
  • 社内/社外内でのプロジェクトの共有のプロセスが甘く、ステークホルダーから何をしているのかわからないと言われる
    etc.

職種やプロジェクトの性質がこれまでと異なることが原因の課題もありますが、基本的なプロジェクトマネジメントにおいて、自分の経験不足でカバーできていない課題もあります。

仮説・方法:自分の見えていることしか課題は捉えられないので、PMBOKの力を借りる

課題を洗い出ししている中で、プロジェクトマネジメントの経験が少ない私には体系だった知識領域がないため、観点を網羅できているか怪しいと感じました。そこで、プロジェクトマネジメントの知識体系ガイドである PMBOK(Project Management Body of Knowledge)を参考にすることで、課題を洗い出す観点の網羅性をあげようと考えました。

PMBOKについての詳しい解説はここでは割愛しますが、概要だけ以下にまとめます。

主には以下2章から構成

  • プロジェクトマネジメント標準:12の領域の原理原則
  • プロジェクトマネジメント知識体系ガイド:より具体な方法や知識
    2021年10月に最新の第7版が公開。これまでは成果物・中間成果物ベースのものから、原理原則が主題に変わる。

それぞれの中身の概要とこれまでと何が変化したかは以下記事が参考になります。

界隈がざわつくほど超進化したPMBOK第7版の解説【プロジェクトマネジメント】|Mizuho Kushida|note

PMBOKからの学び(2/3)

今回は、特に学びが多かった「プロジェクトマネジメント標準」から3つピックアップしていきます。

リーダーシップを示すこと(3.6節)

なぜリーダーシップが重要かというと以下のような記載があります。

さらに、プロジェクトは通常の業務における職務よりも、強い利害関係や高い期待を伴うことがある。その結果、より多岐にわたる管理職や経営幹部、上位の関係者、その他のステークホルダーがプロジェクトに影響を与えようとする。その結果、より高いパフォーマンスのプロジェクトでは、大半のプロジェクトに比べて多くの人たちがより頻繁に効果的なリーダーシップを発揮している。(引用:(2021. 一般社団法人 PMI日本支部. プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK®ガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準.P40)

リーダーシップを発揮する人が多ければ多いほど、プロジェクトに対するコンフリクトや混乱を防ぐことができ、成功する確率をあげられるとの説明です。

またリーダーシップはプロジェクトマネージャーだけなど、特定の役割に限定するものではなく、それぞれの役割の中でのリーダーシップがあると記載があります。

この節の中では「リーダーシップ・スキルは育成されるものである」との記載もあり、どういう環境だとリーダーシップが発揮しやすくなるのかの要素もまとめてありました。

例えば「コミュニケーション・スタイルとメッセージを対象者に適したものとなるように合わせる」です。プロジェクトの企画資料に関して上司から「上司自身は理解できるがステークホルダーの部門の方々は前提がわからないのではないか」というレビューをもらったことがあります。前提知識がない方々には特に初期には前提知識の説明とシンプルなメッセージがないと伝わりません。

特にistyleはプラットフォーム事業で様々な事業・職種が横断することも多いため、この点を今後はチェックリストに加えたいと思います。

リスク対応を最適化すること(3.10節)

この節でのリスクとは、ネガティブなことだけを指すのではありません。

「リスク」とは不確実なイベントまたは状態であり、発生した場合、一つ以上の目標に+あるいはマイナスの影響を及ぼす可能性がある。(引用:(2021. 一般社団法人 PMI日本支部. プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK®ガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準.P53)

加えて、受容可能な「リスクしきい値」というリスクを受け入れる際の目標に対する尺度を理解することも重要だと説明があります。このしきい値もマイナスだけではなく、プラスでの幅も持つということです。

例えば、プロジェクトの途中で追加の要件が発生した場合は、コスト増加とスケジュール遅延のリスクがありますし、育成系のプロジェクトでは人員のモチベーションが高ければスケジュールが早まり、講師の工数が削減できる可能性があります。

今後のプロジェクトではリスクをネガティブな面だけの対応を考えるのではなく、ポジティブな要素も考慮し、なるべく予測可能な状態にしておくことを目指し、リスクの受け入れ基準を明確にしておきたいです。

適応力と回復力を持つこと(3.11節)

ここでは衝撃の一言が…

プロジェクトが最初に計画した通りに遂行されることは滅多にない。
(引用:(2021. 一般社団法人 PMI日本支部. プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK®ガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準.P56)

計画的に遂行したいと考えて、PMBOKを読み進めていた私にとっては意外でしたが、読み進めるとこの言葉の深い意味がわかります。

プロジェクトは、たとえ新たな要素または予期しない要素が出現した後であっても、初期段階での計画とコミットメントを堅持すべきであるという見解は、顧客やエンド・ユーザーなどのステークホルダーにとって有益ではない。なぜなら、これは価値を生み出す可能性を制限することになるからである。しかし、スコープ・クリープのような問題を回避するための適切な変更管理プロセスなど、適応は全体視点でなされるべきである。
(引用:(2021. 一般社団法人 PMI日本支部. プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK®ガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準.P56)

つまり、プロジェクト立ち上げ時の計画を固持すると、良い成果を目指せるチャンスを逃すことになってしまうということです。そのチャンスを常に掴めるようなプロジェクトになるために、継続的な学習や改善、小規模なプロトタイプ構築・実験を繰り返すことで、変化に適応する能力と失敗から迅速に回復する能力が必要になってくるというわけです。

前提として、成果がプロジェクト内のメンバーで認識齟齬があると、なんのための失敗かがずれてしまうと感じました。例えば、事業で売り上げを伸ばしたい部門とリソース管理が重要なシェアードサービス化された開発部門ではその前提が異なるため、開発部門の新規技術の検証は事業部門からすると成果に貢献していないとみられてしまいます。そうすると、適応力と回復力が伸びなくなってしまい、プロジェクト・事業の適応力と回復力も伸びなくなってしまうケースは世の中にありそうです。

適応力と回復力の育成を自分がマネージメントしているメンバーには意識はしていましたが、プロジェクトでアサインされる他部門のメンバーまでは意識をしていませんでした。
プロジェクトは期限があるためその中で育成するのはかなり難しいと思いますが、もし再び同じプロジェクトメンバーになった時のことも今後は考え、適応力と回復力が高いプロジェクトマネジメントに育つ施策を考えたいです。

さいごに (3/3)

個人的に特に学びになったのは、私の上司は様々なプロジェクトをistyle立ち上げ当時から行ってきた経験から、プロジェクトマネジメントの必要な要素を理解しているのですが、まだまだ経験が浅い私は理解が不足しており、プロジェクト企画のレビューに時間をかけてしまったり、報告内容が甘かったりすることがありました。
上司の思考・行動を一般化した知識体系に照らし合わせることで、理解が進んだのと一般化された言葉などを用いることで、今後istyleのプロジェクトのガイドラインを整備して、より成果をだせるプロジェクトを増やしていきたいとも思いました。

PMBOKは第6版が約800ページでしたが、最新の第7版では約300ページにまで相対的にはコンパクトにまとまっています。社内の人は読みたい方がいたら声をかけてください。
社外の方はぜひ交流できればと思うので、気軽にDMいただけると嬉しいです!

2016年 istyle 新卒入社 データエンジニア & アナリスト 好きな食べ物はハンバーガーとラーメンとタイ料理